SHUGOARTS
次回の展覧会
現在の展覧会: イリヤ・カバコフのアルバム劇場「クローゼットのプリマコフ」
Ilya KABAKOV
  2004年5月28日(金)〜7月3日(土)
11:00-19:00 日・月曜日、祝日休廊
シュウゴアーツではイリヤ・カバコフの個展を開催致します。カバコフは旧ソビエト連邦のドニエプロペトロフスクに生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動をしています。
 ペレストロイカ以前のモスクワ。社会主義リアリズムの作品以外は芸術家の仕事として認められていなかった時代を、カバコフは表の顔は絵本の挿絵画家として、裏の顔はソビエトコンセプチュアリスムの父と呼ばれるような現代美術家として生きていました。特に彼の初期にあたる70年代に制作した彼がアルバムと呼ぶ紙芝居形式の連作を芸術仲間達に自分のアトリエで時々披露していました。80年代後半以降西側での発表を始め、作家として名前が全世界に広がったのち、このシリーズは「アルバム 十の人物」として発表されます。作家の分身かもしれない十人の特徴のある人物達がそれぞれの主人公になっている物語は、制作当時のモスクワの空気が反映された不合理性と現代にも通じる普遍性が相まって、カバコフ的世界の原型を提示しています。
 そのアルバムのひとつ、自宅の押入れに住み着き、ついにはそこから忽然と姿を消してしまう男の物語「クローゼットのプリマコフ」が、作家の監修・朗読のもとに1999年、CD-ROM化されました。どのように絵を見せ、どのようなテンポで絵を切り替えていくか、という時間性を重視する紙芝居という芸術形式にこだわった作家にとって、CGによる作品の再現は新しい挑戦でした。

彼は語る── 幼い頃、僕はクローゼットの中に長い間こもっていたものだ。そこでは誰も僕を邪魔したりしなかった。板の向こうから聞こえてくる音に耳を澄ませば、部屋の中で起こっていることもすべてわかった。……僕はその中で想像を巡らせた──僕がクローゼットから出て、街の上、大地の上に舞いあがって、空へ消えていく様子を。 僕はあんまり長くクローゼットにいたので、扉を開けても、光が眩しくて何にも見えないほどだった。
……「クローゼットのプリマコフ」より

 今回の展示ではその映像をギャラリーの壁面に大きく投影し、作家自身によるロシア語の朗読と日本人俳優による和訳朗読と共に、より厳密なテクストとイメージのリズムによって、当時作家が行ったリーディング・パフォーマンスを彷彿とさせる時間と空間を体験することが出来るでしょう。
 大掛かりなインスタレーションを中心に制作発表を続ける作家の出発点ともいえる作品を、この機会に是非ご高覧下さい。

尚、今回の展示ではCD-ROMの販売も行います。
カバコフ セラミックエディション
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